私が育った家の真ん中には、大きな穴があいていました。
深い深い穴です。
家族はそれを見たくないので、上に覆いをかけていました。
私がうっかり覆いをひっぱると、みんなが叱りました。
なんて子だ!あっちへ行け!
覆いをとってはいけない。
それが家族のルール。
みんなが壁伝いに遠回りして歩き、とても不便な暮らしでした。
それでも我慢していました。
文句を言ってはいけない。
それが家族のルール。
穴の中から何かが出てこようとすると、みんなで覆いを押さえました。
私も小さな手で、力いっぱい押さえました。
ちゃんと役に立たなければならない。
それが家族のルール。
あなたの家族には、どんなルールがあったのですか。
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これは私がアダルトチルドレンの本で読んだ、一つのストーリーです。
あぁ、私の他にもこんな気持ちを味わった人がいるんだ・・・切ないような嬉しいような複雑な気持ちでした。
私の家はハッピーではない、25歳になってやっと人に話すことが出来ました。
話してみると意外と同じ境遇の人が多い。
そして決して恥ずかしいことではないんだと感じました。
今、家族と距離をとって1年近くなります。
これから先どうなるか分からないけれど、
自分の決断が正しいのか分からないけれど。
いつか笑って話すことが出来るように。
*若い頃の母。私が見てきた母とは別人。
渓